この記事では退職時の有給消化の方法について解説します。
退職時に有給消化をしたいと思う人は多いはずです。
結論を言うと退職時の有給消化は可能です。原則として労働者の希望の時期に行えます。
労働基準法 第39条
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
e-GOV法令検索
とはいえ、退職時の有給消化を希望どおりに行うには準備が必要です。

退職時の有給消化の流れは?
退職時に有給消化するためにするべきことは?
退職時の有給消化を拒否されたら?
この記事ではこのような疑問について解説します。
退職時の有給消化の流れ


まず有給消化の流れについてです。
人事課などに有給の残り日数を確認します
希望する退職日を決めます
希望する退職日までに消化しきれない有給は切り捨てになります
退職の希望と有給消化の希望を伝えます
希望が通れば有給消化のスケジュールの相談をします
引継ぎをすませて有給消化に入ります
退職の意向は師長と看護部長に伝えますが、有給消化の交渉は師長メインで行うことになります。
法的には希望とおりに有給消化できるのですが、すんなりと通らないケースも多いです。
退職時の有給消化のためにするべきこと
退職時の有給消化のためにするべきことは3つです。
退職時の有給消化のためにするべきこと
- 有給の残り日数を正確に把握する
- 可能な限り早い時期に伝える
- 有給の消化パターンを何通りか決めておく
有給の残り日数を正確に把握する
まずはじめに有給の残り日数をきちんと把握してください。自分の思っている日数と異なっていると後々面倒です。
有給の残り日数は職場に直接確認してください。自分で計算するのはおすすめしません。



確認先は人事課のことが多いです。
有給の計算方法などがもありますが、かなりややこしいです。
たとえば有給には下記の取得条件があります。
有給消化の取得条件
- 6か月以上継続して勤務している
- 前労働日の8割以上出勤している
さらに有給のルールも複雑です。
- 年次有給休暇は最低5日の取得が法律で義務化されている
- 使用しなかった有給休暇は翌年度に繰越となる
- 有給休暇の失効期限は2年と定められている
さらに有給の残日数が40日以上ある場合もあるので注意が必要となります。40日が上限だと思っていると損をします。
こういった事情から自分で計算するのはおすすめしません。手間を考えても職場に確認した方が良いです。



有給の残り日数の確認を間違えると開幕から撃沈です。
可能な限り早い時期に伝える
有給消化をするためには可能な限り早い時期に伝えてください。これが最も大事です。
目安としては半年以上前に伝えることをおすすめします。



半年も前に伝えないといけないの?
たとえば、有給が40日あるとすると、2ヵ月近く休むことになります。2ヵ月間スタッフが1人減ることになるので、ギリギリに伝えられると大変です。
なお、どれだけ早い時期に伝えても通らない場合はやりとりなどを証拠として残しておくことをおすすめします。有給消化をさせる気自体がない場合もあるからです。
有給消化のスケジュールを何通りか考えておく
有給消化のスケジュールは何通りか考えておくことをおすすめします。スケジュールを譲歩すれば有給消化が通りやすくなることもあるからです。
有給の消化スケジュールは主に2パターンあります。
有給消化のスケジュール
- 最終出勤日から退職日まで有給消化する
- 1以外のパターン




基本的には最終勤務日までまとめて消化したい人が多いかと思いますが、時期によっては通りにくいことが多いです。
有給消化が通りにくくなる時期
- 退職者が増える時期
- 他の退職者の有給消化と被る時期
- 入退院が増えたりする繁盛期
なので第一希望が通らなかった時のために第二希望くらいまでは考えておくと良いかと思います。



とはいえ法律上は譲歩する必要はありません。
穏便に済ませたい人向けの妥協案です。
有給消化を断られた時の対処方法


そもそも職場が有給消化をさせる気がない場合もあります。この場合は交渉しても効果は薄いので、対策を練る必要があります。
具体的な方法としては2つあります。
退職時の有給消化を断られた時の対策
- 労働基準監督署に相談する
- 退職代行に依頼する
労働基準監督署に相談する
まず1つめの方法は労働基準監督署への相談です。
労働基準監督署は労働基準法を守らせるための公的機関です。相談は無料でできます。
労働基準法違反が認められれば、職場に対して指導や是正勧告が入ります。また個人的な対応に対する助言やアドバイスをもらえることもあります。



ただし労働基準監督署への相談には注意点があります。
労働基準監督署に相談する際の注意点
- 労働基準監督署に動いてもらうには証拠が必要
- あくまで労働基準法違反にしか対応できない
- 他に悪質な案件があればそちらが優先される
- 指導や是正勧告で改善しない場合もある
本格的に労働基準監督署を動かすにはそれなりの労力が必要になります。
指導や是正勧告を期待するというよりは、助言やアドバイスを得たり、労働基準監督署に相談する旨を伝えて交渉するという方法が現実的です。



証拠とともに労働基準監督署に相談する旨を伝えることで、退職と未払い賃金、有給消化を勝ち取った人もいます。
労働基準監督署についての詳細はこちらの記事にまとめています。


退職代行サービスで有給消化の交渉を依頼する
退職代行は退職者の代理で退職の処理をしてくれる業者です。
労働者の退職を代行するのが中心業務ですが、有給消化の交渉を行ってくれる業者も多いです。



・退職を伝える気力すらない
・労働基準監督署に動いてらうための証拠集めが大変
・労働基準監督署に相談する旨を伝えたけど効果がない
このような場合は退職代行に有給消化の交渉をしてもらうことをおすすめします。
有給消化したい場合はその旨を退職代行に相談しましょう。
退職代行について詳しく知りたい方はこちらの記事にまとめています。
まとめ


退職時の有給消化の方法と対策のまとめ
- 退職時の有給消化のためにするべきこと
- 有給の残り日数を正確に把握する
- 可能な限り早い時期に伝える
- 有給の消化スケジュールを何通りか決めておく
- 有給消化を拒否された場合の対処方法
- 労働基準監督署に相談する
- 退職代行に有給消化の交渉を依頼する
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