【徹底解説!】 インシデントレポートの書き方 ~速く仕上げるコツ~

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この記事ではインシデントレポートの書き方について解説します。

看護師をしていると必ずインシデントレポートを書くかと思います。

インシデントレポートを早く仕上げたい
インシデントレポートに手こづる

このような疑問について解説します。

まず結論を言うと、インシンデントレポートは下記の3項目の書き方をマスターすればすぐに仕上がります。

  1. インシンデントの概要
  2. インシンデントの要因と改善策
  3. インシンデントレベル

これら3つの書き方について押さえていきましょう!

手こずっているいる人は是非見ていってください!

目次(タップでとびます)

「インシデントの概要」

インシデントの概要は文章構成のテンプレートがあると早く仕上がります。

おすすめの文章構成は下記の通り。

インシデントレポートの文章テンプレート

  1. 何が原因で
  2. 何が起こって
  3. どういう対応をして
  4. 患者にどのような影響が出たか

この文章構成に沿って書けばインシデントレポートに必要な内容を押さえることができます。

完成例は下記のようになります。

完成例

(1.何が原因で)

10月10日20時頃に患者の検温を行った。患者はアルツハイマー型認知症で夜間徘徊行動が認められていたため、離床センサーが設置されていた。しかし検温時にセンサーの確認を怠ってしまった。

(2.何が起きて)

その後同日の22時10分頃、巡回時に病室のベッドサイドの床で患者がうつぶせの状態になっているのを発見した。そして離床センサーがoffになっていることに気づいた。

(3.どう対応して)

患者の状態を確認したが、肉眼的な以上は認めなかった。バイタルサインに異常はなく、患者は「どこも痛くない。滑ったんや。」と発言した。当直医に報告し、患者のバイタルサインや状態に変化を認めなければ様子を見るようにとの指示を受けた。

(4.患者にどのような影響があったか)

その後、患者には変化はなかった。

少し細かく書いていますが、職場で求められる基準に応じて調整してください!

続いて各項目の書き方のポイントについてです!

1.「何が原因で」

インシデントの原因を書きます。

完成例

(1.何が原因で)

10月10日20時頃に患者の検温を行った。患者はアルツハイマー型認知症で夜間徘徊行動が認められていたため、離床センサーが設置されていた。しかし検温時にセンサーの確認を怠ってしまった。

ポイントは「本来行うべき確認や行動を行っていたかどうか」

完成例でいうと太字の部分です!

本来行うべき確認や行動は、マニュアルやルールとして教育されていることです。

本来行うべき確認や行動

  • 決められたタイミングでのダブルチェック
  • 定められたタイミングでの病床環境の確認
  • 電話対応時の復唱

それらを怠ったか、行ったかが分かるように書きます。

この部分は「インシンデントの要因と改善策」の内容にも直結します。

2.「何が起こって」

起きたシンシデントの内容を書きます。

完成例

(2.何が起きて)

その後同日の22時10分頃、巡回時に病室のベッドサイドの床で患者がうつぶせの状態になっているのを発見した。そして離床センサーがoffになっていることに気づいた。

ポイントは5W1Hを具体的にして事実のみ書くこと

事実のみを書くポイント

  • 実際にその場でその時に見たことだけ書く
  • 実際に目撃しなかったことは書かない

たとえば転倒のインシデントの場合、転倒するところを見たら「転倒した」、転倒したところを見ていないなら「〇〇の状態になっている」という表現になります。

書き方の例

  • 流量指示が2ml/hになっている〇〇が3ml/hで投与されているのを発見した
  • 患者さんが床にうつぶせ状態になっているのを発見した
  • 分包された内服薬の中に〇〇が1条多く含まれているのを発見した

3.「どう対応したか」

起こった出来事に対して対応した内容を書きます。

完成例

(3.どう対応して)

患者の状態を確認したが、肉眼的な以上は認めなかった。バイタルサインに異常はなく、患者は「どこも痛くない。滑ったんや。」と発言した。当直医に報告し、患者のバイタルサインや状態に変化を認めなければ様子を見るようにとの指示を受けた。

ポイントは確認したことと行ったことを具体的に書くこと

具体的に書くポイント

  • 何を確認したのか
    • バイタルサインの測定
    • 外傷の観察
    • 意識レベルや状態の観察
  • 何を行ったのか
    • 何を報告したのか
    • どんな指示があったのか

未然に防いだ場合は書かないこともあります。

4.「患者にどのような影響が出たか」

起こった出来事によって生じた患者への影響を書きます。

完成例

(4.患者にどのような影響があったか)

その後、患者には変化はなかった。

ポイントはインシデントレベルの評価と矛盾しないように書くこと

インシデントレベルの分類を見て書くと書きやすいです。

インシデントレベル分類…?

下記のようなものです。各施設に似た表があると思います。

スクロールできます
レベル障害の継続性障害の程度
レベル0エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者には実施されなかった
レベル 1なし患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)
レベル 2一過性軽度処置や治療は行わなかった(患者観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全確認のための検査などの必要性は生じた
レベル3a一過性中等度簡単な処置や治療を要した(消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮痛剤の投与など)
レベル 3b一過性高度濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)
レベル 4a永続的軽度~中等度永続的な障害や後遺症が残ったが、有意な機能障害や美容上の問題は伴わない
レベル 4b永続的中等度~高度永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う
レベル 5死亡死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)
国立大学附属病院医療安全管理協議会「影響度分類」から引用

インシデントレベルの分類に沿って書くことで、インシンデントレベル評価との矛盾が生じにくくなります!

書き方の例

  • 事前に発見したため、患者への投与が実施されることはなかった
  • 患者にはバイタルサインの変動や状態の変化はなかった
  • 頭部CT検査の結果は異状はなかった。念のため経過観察を強化した

最後に文章の見直し

最後に文章の見直しをして終わりです。

文章の見直しのポイント

  • 5W1Hが具体的に書かれているか
  • 薬品の名称・量・流量・単位が具体的に書かれているか
  • 推測・反省・弁解を書いていないか

書き直しになると手間です!

「インシデントの要因と改善策」の書き方

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この部分はインシデント概要で書いた「何が原因で」の部分に合わせて書きます。

本来行うべき確認や行動を行っていたかどうかでパターンを分けると書きやすいです。

本来行うべき確認や行動を怠っていた場合

本来行うべき確認や行動を怠っていた場合は、怠ったこと自体が原因となります。

追加でもう1つ掘り下げて原因を記載しておくとより良い具合に仕上がります。改善策は本来行うべき確認や行動を徹底することとなります。

完成例に基づいて書くと下記のようになります。

完成例

(1.何が原因で)

10月10日20時頃に患者の検温を行った。患者はアルツハイマー型認知症で夜間徘徊行動が認められていたため、離床センサーが設置されていた。しかし検温時にセンサーの確認を怠ってしまった。

インシデントの要因と改善策

  1. インシデントの要因
    • 訪室時にセンサーの確認を怠っていた。
  2. もうひとつ掘り下げた要因
    • 多重課題がある状況下でセンサーの確認を失念してしまった。
  3. 改善策
    • 病室の退室時にはセンサーの確認を行うように徹底する

本来行うべき確認や行動を行っていた場合

本来行うべき確認や行動を行っていたがインシデントが起こった。この場合は、マニュアルやルールに不備があります。改善策はマニュアルやルールの再検討や補足の方法などです。

マニュアルやルール通を遵守していたがインシデントが生じたことを記載し、改善策を記載すると良いです。

例としては下記のようになります。

インシデントの要因と改善策

  1. インシンデントの要因
    • 〇〇の確認を行ったがインシンデントを防ぐことができなかった
  2. 改善策
    • 規定の〇〇のタイミング以外に、□□のタイミングでも●●の確認を行う
    • 現在のマニュアルやルールの見直しを行い、方法を再検討をする

「インシデントレベルの評価」の書き方

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インシデントの概要の「患者にどような影響がでたか」の部分と矛盾がないことが大切です。

完成例

(4.患者にどのような影響があったか)

その後、患者には変化はなかった。

完成例をインシデントレベルの分類を用いて評価すると…

スクロールできます
レベル障害の継続性障害の程度
レベル0エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、患者には実施されなかった
レベル 1なし患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)
レベル 2一過性軽度処置や治療は行わなかった(患者観察の強化、バイタルサインの軽度変化、安全確認のための検査などの必要性は生じた
レベル3a一過性中等度簡単な処置や治療を要した(消毒、湿布、皮膚の縫合、鎮痛剤の投与など)
レベル 3b一過性高度濃厚な処置や治療を要した(バイタルサインの高度変化、人工呼吸器の装着、手術、入院日数の延長、外来患者の入院、骨折など)
レベル 4a永続的軽度~中等度永続的な障害や後遺症が残ったが、有意な機能障害や美容上の問題は伴わない
レベル 4b永続的中等度~高度永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害や美容上の問題を伴う
レベル 5死亡死亡(原疾患の自然経過によるものを除く)
国立大学附属病院医療安全管理協議会「影響度分類」から引用

「患者への実害はなかった(何らかの影響を与えた可能性は否定できない)」の「レベル1」の評価になります。

レベル1とレベル2の違いがややこしい…

個人的には下記に該当すればレベル2にします。

インシンデントレベル2に該当するもの

  • 医師から〇〇時間後に再度状態を観察するように具体的な指示があった
  • 採血検査や画像検査などを行った
  • 発見時に通常の状態から逸脱したバイタルサインを認めた
  • 看護師判断で状態の観察回数を普段より増やした

まとめ

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インシデントレポートの書き方まとめ

  1. 「インシデントの概要」は書き方のテンプレートを意識すると書きやすい
    • 何が原因で
    • 何が起こって
    • どう対応して
    • 患者にどのような影響があったか
  2. インシデントの要因と考えられる改善策は本来行うべき確認や行動を行ったかどうかで書き分ける
  3. インシデントレベルは「患者にどのような影響があったか」の部分と矛盾がないように評価する
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